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第57夜は、アントニン・ドボルザークのチェロ協奏曲(Cello Concerto in B minor) です。作曲は1894年(op104)。
生年月日 | 1841/9/8 - 1904/5/1 |
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ではこの素晴らしい曲をお聴きください。
第一楽章は勇壮で切れ味鋭く、また彼の独特でキャッチーなメロディも随所に散りばめられています。 ふとブラームスの三番のようなシャレた高音部のフィーチャーも登場しますが、それこそシンプルかつ高速な運指が要求されるパートなどもあり、見事な整合性に支配されているというよりは、迷いのない演出、いさぎよい構成という感じですね。
第二楽章は、どこか牧歌的で、チェロの楽器としての魅力がより感じられる楽章です。
第三楽章は、冒頭から民族音楽的なメロディが全開になります。 (第一楽章も含めまして)全体的に、少々「いそがしく」なるパートも多いですが、スタッカートなど音価のバランス、ディテールにも職人的な工夫が随所に施されており、間断なく楽しく聴けますので、およそ40分という演奏時間があっという間に感じられます。
ドボルザークの才能もまた、その見事な古典音楽の理解により裏打ちされているというか、堅実さがありますね。そうしたしっかりとした土台に素晴らしいメロディが乗ってきますから、とても心地よいのです。